こんばんは。綾野剛主演のドラマ、ハゲタカが最終回だそうで。
ハゲタカは投資ファンドを題材にしたドラマなのですが、ふと気付きました。なぜ、外資系ファンドや村上ファンドは「ハゲタカ」と言われるのに、同じ投資ファンドであるVC(ベンチャーキャピタル)はハゲタカと言われないのでしょうか?
そもそも投資ファンドとは?
そもそも、「投資ファンドって名前を聞くことはあるけど、何してるの?」って方もいると思うので、簡単に説明します。投資ファンドの仕事とは、
- 投資家からお金を集めて、
- 会社の株式やら不動産やらに投資をして、
- 集めたお金と運用益を投資家に返して、残った利益を頂く
という仕事です。なので、基本的に投資ファンドにはそこに投資をしてくれる投資家が存在します。具体的には、国内外の年金基金、生命保険会社、銀行などです。つまり、僕らが納めている年金や生命保険料が投資ファンドの元手になっているのです。
投資ファンドは投資対象によって分けられる
そんな投資ファンドですが、投資家から集めたお金を何に投資するのかにより、性質が大きく異なります。ファンドの種類としてよく聞くのは、
- ベンチャーキャピタル(VC)
- プライベートエクイティファンド(PE)
- アクティビストファンド
- 不動産ファンド
辺りでしょうか。これらは全て、いわゆる投資ファンドなのですが、正直やっていることは大きく異なるので、ざっくり違いを見ていきましょう。
ベンチャーキャピタル(VC)とは?
起業家界隈で最も馴染みのあるのはこれでしょう。「ぶいしー」と言われるやつです。文字通り、投資対象となるのはベンチャー企業です。
比較的、創業から間もない企業に投資(=株式を購入)して、将来的に企業が大きく成長したタイミングで株式を売却して利益を得ることが仕事です。
例えば、創業間もないFacebookやメルカリに投資するイメージです。大きく成功するかの判断が難しい反面、当たれば莫大な利益が手に入ることになります。
プライベートエクイティファンド(PE)とは?
「ぴーいー」と言われます。これも文字通り、"Private"な"Equity"である「非上場」企業が投資対象になります。また、「バイアウトファンド」と言われることもあります。
*VCも非上場のベンチャー企業に投資するため、広義のPEだが、一般的にPEとはバイアウトファンドを指す
PEはVCよりも相対的に成熟した企業に投資(=株式を購入)して、経営改善などのサポートを通して、企業価値を向上させた後、株式を売却して利益を得ます。
ガストやバーミヤンで知られる「すかいらーく」やベビースターで知られる「おやつカンパニー」も実はPEファンドの投資先です。
アクティビストファンドとは?
最近よく聞く「物言う株主」の代表的なもので、一世を風靡した村上ファンドもアクティビストファンドに分類されます。「あくてぃびすと」と呼ばれます。
アクティビストは企業価値向上の余地が大きい上場企業に投資して、株主総会の場などで、株主の権利を声高に主張して、価値向上を促した後、保有株式を売却して利益を得ます。
ニッポン放送や阪神電鉄への投資が当時はよくメディアに取り上げられました。
外資系PEやアクティビストはハゲタカと言われることも
ここまで、それぞれの投資ファンドを説明してきましたが、ファンドと聞いたら、「ハゲタカ」というイメージを持っている人はまだまだ多いのではないでしょうか?
ただ、ここで一つ疑問なのが、外資系PEファンドやアクティビストファンドと聞くと、ハゲタカというイメージがあるものの、ベンチャーキャピタルはハゲタカというイメージを持たれていないということです。
説明してきた通り、ビジネスモデルとして、投資家からお金を集めて、投資をして、運用益を得るという点はどのファンドも共通であり、ただ、投資対象が異なるだけです。
VCもハゲタカなのでは?
目にされた方は少ないかもしれませんが、VCが実際に投資をする際に契約書を見てみると、それなりにやることはやっている印象を受けると思います。例えば、ある条件下ではVCの株式を会社が書い取らなくてはならない条項が入っていたりします・・・
敢えて極端な例を出すと、最近は会社経営や資本政策をよく理解していない学生を起業させて、少ない投資額で相当高い株式割合を確保するVCもあるとかないとか・・・良い顔して一番ハゲタカなのでは?と思ったりすることもあります(笑)
とはいえ、良いVCの方が多いと思いますし、起業家割合の少ない日本において、リスクマネーを供給するという社会的意義は高いと思っています。
結論:どの投資ファンドもハゲタカじゃない
結果的に思うのは、どの投資ファンドもビジネスとして一定のルールの下でやっている訳で、良い悪いと言う話ではないと思っています。結局、投資ファンドのビジネスをよく理解しないまま、ハゲタカと言う言葉だけが一人歩きしているのではないかと
- 投資ファンド=村上ファンド
- 村上ファンド=ハゲタカ
- よって、投資ファンドはハゲタカである
という三段論法を元にしたイメージだけが先行しているように感じています。良くも悪くも村上さんの影響力の大きさを感じますね。
投資ファンドがハゲタカと思われる一つの理由として、「自分の懐ばっかり潤しやがって」という金の亡者的なイメージもあるのかと。
ただ、冒頭で説明した通り、多くの投資ファンドは年金やら生命保険やら、人のお金を預かって、それを増やすという命題の下、仕事をしています。なので、数十年後に年金を貰えるとしたら、それは「ハゲタカ」のお陰かもしれませんよ、なんちゃって。