Voyage

若手ビジネスパーソンのための情報ポータル

初心者向け株の選び方:TDnetで有用な情報を無料で入手しよう

f:id:smc310:20181104175308p:plain

突然ですが、株式投資を始めたばかりの方は、どのように銘柄を選んでいるのでしょうか?

「株式投資 おすすめ銘柄」なんかでキーワード検索している方もいれば、何と無く面白そうな会社を選んでいる人もいれば、テクニカル分析を勉強してローソク足を見て見たりしている人もいるでしょう。

始めたばかりの頃は、何が何だか分からない株式投資ですが、トライアンドエラーを繰り返しながら、自分なりの「投資の軸」を確立して行くことが最大の近道かと思います。何事も、急がば回れ、ローマは1日にして成らず、ですね。

www.shumatsuconsulting.com

さて、今回は株式投資初心者の方が銘柄を選ぶに当たって、参考になりそうな無料ツールを紹介してみようと思います。

その名もズバリ、「TDnet」(ティーディーネット)です。またの名を「適時開示情報閲覧サービス」と言う東京証券取引所が運営しているサービスで、誰でも簡単に無料で利用することが出来ます。

今回はそのTDnetを使ってできること、投資検討での活用方法などを紹介していきます!

そもそも株価はどうやって変動するのか?

当たり前ですが、株式投資の基本は「安く買って、高く売ること」です。つまり、これから株価が上がりそうな企業を見つけ出し、その企業の株価が上がる前に株を買うことが重要になります。

「そんなこと、当たり前だろ!」と言うツッコミが聞こえてきそうですが、そもそも株価はどのように変動するのでしょうか?言い換えれば、どんなタイミングで株価は上がったり・下がったりするのでしょうか?

株価は様々な投資家の思惑を反映して、時事刻々と変動しており、株価に影響を与える要因は無数に存在するため、株価の変動を完全に説明することは容易ではありません。

しかし、単純化すると株価の変動は下記のプロセスによって起こります

  • ある株価(P1)が決まる
  • 株価に影響を与える新情報が公開される
  • 新情報を基に投資家が株式を売買する
  • 新たな株価(P2)が定まる

理論上は上記のプロセスを繰り返して、株価が決定して行く訳です。

どのような情報が株価に影響を与えるのか?

上記のプロセスを経て、株価が形成されることは理解頂けたかと思います。では、「株価に影響する新情報」とは一体何でしょうか?

具体例を挙げると、下記のような情報が株価に影響を与える可能性が高いと言えると思います。

  • 業績に関する情報(決算発表)
  • 業務・資本提携に関する情報(M&A、増資等)
  • 不祥事に関する情報

多くの企業は期初に年間の売上・利益目標を公表していますが、その目標を大幅に上回る/下回る見通しであることを企業が発表した場合などは、株価が大きく反応する場合が多いです。

また、ある企業が競合企業の買収を発表したり、不採算事業の売却を発表したり、第三者割当増資を発表した場合なども、同様に株価が反応する場合が多いですね。

さらに、ある企業が巨額の損害賠償請求を求められていることを発表したり、品質不良による大規模なリコールを発表した場合なども同様です。

株価に影響を与える情報をいち早く入手するには?

上記で述べてきた通り、重要なことは「株価に影響を与える情報」を「株価に織り込まれる前に入手」して、株を買っておくことが重要ということです。

そこで登場するのが「TDnet」です。

適時開示情報閲覧サービス - 開示情報一覧

↓クリックするとこんな画面が出てきます

f:id:smc310:20181104171337p:plain

東京証券取引所によれば、

TDnet(Timely Disclosure network)は、より公平・迅速かつ広範な適時開示を実現するために、上場会社が行う適時開示に関する一連のプロセス、すなわち東京証券取引所(以下「東証」という)への事前説明(開示内容の説明)、報道機関への開示(記者クラブや報道機関の本社の端末への開示資料の伝送)、ファイリング(開示資料のデータベース化)、公衆縦覧(開示資料の適時開示情報閲覧サービスへの掲載)を総合的に電子化したシステムです。
上場会社は、有価証券上場規程に基づき会社情報の開示を行う場合は、必ずTDnetを利用することが義務づけられています。また、任意で会社情報を開示する場合においても、投資者への情報の周知性に配慮し、できるだけTDnetにより開示することをお願いしています。

出所:日本取引所グループ

上記の通り、上場企業は公平・迅速・広範な情報開示を実現するために、TDnetを通した情報開示が義務付けられています。

つまり、株価に影響を与えるような重要な情報はTDnet上で開示が行われる可能性が高いと言うことになります。

*当たり前ですが、一般投資家に公開されていない機密情報を基にして、株式売買を行った場合は「インサイダー取引」に該当し、罰せられることになりますので、ご留意を。

TDnetの具体的な活用方法とは?

サクッと探しただけですが、一つ具体例を挙げてみます。

東陽テクニカ 2018/10/30 情報開示

東陽テクニカという測定機器の専門商社(東証一部・時価総額約230億円)が2018年10月30日14:00にTDnet上で「剰余金の配当に関するお知らせ」という情報開示を行っています。

f:id:smc310:20181104172347p:plain

簡単に言うと、一株当たりの配当金を「17円」にする予定だっだけど、「22円」に増やします!と言う内容です。株主からすれば、株を持っているだけで、貰えるお金が増えることになりますね。

情報開示による株価の反応

10/30 14:00に上記の情報を開示した訳ですが、株価はどのように反応しているでしょうか?

下記の通り、開示時点では864円だった株価が、11/2 15:00時点では916円まで上昇しています。一株当たり52円・約6%の値上りと言うことになりますね。

f:id:smc310:20181104172625p:plain

つまり、理論上は開示直後に株を買っていれば、取引コスト控除前で一株当たり52円・約6%の利益を得られたことになりますね。50万円分買っていれば、約3万円分の儲けになります。

終わりに

日本株に投資をしている機関投資家を含むプロの投資家は必ずと言っていい程、TDnetをチェックしています。株式投資をしている方にとって、TDnetは必要不可欠なツールと言っても過言ではないでしょう。

TDnetは誰でも無料で利用できるツールですので、これを使えば必ず利益を上げられるような魔法のツールではありませんが、株式投資をする上で非常に有用な情報を得られるツールかと思います。

最後に、念のため補足すると、東証一部に上場していて、時価総額の大きな人気銘柄は、プロの機関投資家が投機目的での売買を短期間でかつ大規模に行うため、上記で述べてきたような単純な株価形成はほとんど見られないかもしれません。

逆に言えば、時価総額が300億円未満で、売買のボリュームが少ない銘柄は上記で述べたような値動きをしやすいと言えます。ちなみに、例として取り上げた「東陽テクニカ」も時価総額230億円でした。

株式投資初心者が時価総額の大きな企業に投資をすべきなのか、はたまた時価総額の小さな中小型銘柄に投資すべきなのかは、また別のトピックとして取り上げられたらと思います。

 

関連記事:

www.shumatsuconsulting.com